物語がつまった宝箱
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私は1971年9月生まれです。
8歳から18歳の多感な時期を過ごしたのは、1980年代。
来年でちょうど仕事を始めて30年の節目を迎えるにあたり、この連載で今の自分を作ってくれた大好きなもの、ことを、超個人的な思い出とともにふりかえっていきたいと思っています。
懐かしんでもらったり、ぜんぜん知らなかったり、50歳のイラストレーターのつぶやきにおつきあいいただけたらさいわいです。

  • THE FIRST RECORD 最初に買ったレコード 2022年9月1日更新
「自分で最初に買ったレコードはなに?」 飲み会などで、結構もりあがる話題。 娘を通じてできたパパママ友達は10歳前後の年下が多いので、 最初の1枚はCDで、タイトルを聞くと一気に歳の差を感じます。 81年生まれで広告代理店勤務のKさんは、12歳でTUBEの「夏を待ちきれなくて」。 その妻で保育士のKちゃんは中学時代のCHARA。 80年生まれのわが夫は、11歳で「嘉門達夫の替え唄メドレー」。 私はちょうどレコードからCDに切り替わる世代で、高校生の頃にCDが普及していった感じ。 自分のために初めて買ったレコードは14歳、 その2年前に発売されたC-C-Bの1stシングル「CANDY」でした。
歌番組「ザ・トップテン」で4thシングル「スクール・ガール」を歌う姿を見て、 急激に好きになったC-C-B。 ブレイクを果たした3rdシングル「Romanticが止まらない」ではなく、 その後の少しトーンダウンした「スクール・ガール」だったのが、我ながら興味深い。 「いいなぁ」「なんか気になるかも……」「あれ、かっこよくない⁈」と 一曲聴く間に、まるで恋にでも落ちたような感覚になったもの。 筒美京平×松本隆の黄金コンビによる名曲ですもの(「Romantic~」も)。 後にも先にも、ファンクラブに入るほどいれあげたのはC-C-Bだけ。 中2当時、毎日交換日記を書き合うほど仲良しだったかおりが、 同時に好きなったのも熱中に拍車をかけたのでした。 中3になる春休みには、二人で「よみうりランド オープンシアター EAST」で人生初のコンサート体験。 後ろの芝生席(自由席)しか取れなかったので、少しでも前のほうに行くべく、 始発に乗り込み、8~9時間並んだのもいい思い出。 6つ上の姉は高校生になってもコンサートに行くことを禁じられていたのに、 3人目の私ともなると「好きにすれば」という適当さで、姉が怒っていたのを覚えているなぁ。 当時私は姉の影響で中島みゆき、サザンオールスターズ、松任谷由実、戸川純、 2つ上の兄の影響でラフィン・ノーズ、ARB、ザ・ブルーハーツなどを、 C-C-Bと同時に聴くというわけのわからない音楽ライフを送っていました。
ザ・トップテン 1981~1986年に日本テレビ系列で毎週月曜日20~21時に生放送されていた音楽番組。司会者は堺正章と榊原郁恵(後番組の「歌のトップテン」は~1990年)。木曜放送のTBS系列「ザ・ベストテン」(1978~1989年)と双璧を成していた。
よみうりランド オープンシアター EAST 1983年~2013年によみうりランド内にあった野外ステージ。 固定席4182名、芝生席4000名が収容可能。
ラフィン・ノーズ 1981~1991年・1995年~ 大阪で結成されたパンクロックバンド。1985年に新宿アルタ前でのソノシート無料配布に1300人のファンが殺到。兄はボーカルのチャーミーを真似て、ガーゼシャツを着て都立高校に通っていた。私は当時のギター・NAOKIのファンでした。
さて件(くだん)の初レコードは、貸レコード店「友&愛」に出入りして カセットテープにダビングばかりしていた私が、はじめて「買おう!」と決めたレコード。 どうせなら大好きなC-C-Bの原点を、と求めた一枚なのでした。 かおりとの交換日記に互いの推しメンのスケッチを描きあったり (私はベースの渡辺英樹氏、かおりはギターの関口誠人氏)、 塾の帰りに一つのイヤホンを分け合って、彼らのラジオ「カラフルココナッツ」を聴いたり。 かおりと学校が分かれた高校入学とともに、その熱気はおさまってしまったけれど、 今でも折々に突如楽曲が脳内再生されるほど(なぜか悪女ソング「浮気なジル」が多い)、 深く魂に刻まれているのでした。
C-C-B 1982~1989年・2008~2009年・2015年 ラジオ番組の企画で〝和製ビーチボーイズ〟をコンセプトに結成された「Coconut Boys」が前身。当時メンバーはビーチボーイズにまったく興味がなかったのだとか。84年から渡辺英樹(v)、笠浩二(d)、関口誠人(g/87年に脱退)、田口智治(k)、米川英之(g)の5人に固定。1985年、ドラマ『毎度おさわがせします』の主題歌「Romanticが止まらない」が大ヒット。

(つづく) 次回は2022年11月1日更新予定です。

著者プロフィール

  • 杉浦さやか

    日本大学芸術学部在学中に、イラストレーターの仕事を始める。独特のタッチと視点のイラスト&エッセイが、読者の熱い支持を集めている。イラストのかわいらしさはもちろん、文章のうまさにも定評がある。著書に『ひっこしました』『ニュー東京ホリデイ』『世界をたべよう!旅ごはん』『たのしみノートのつくりかた』など、多数。