岩井圭也
夜の下北沢(しもきたざわ)には、小雨が降っていた。 舞台を観(み)た直後だった。折りたたみの傘を広げて劇場を出ると、正面の階段下で見覚えのある人を見かけた。ベージュの傘をさし、紺のジャージを着た女だ。下北沢で舞台を観れば、必ずと言っていいほど知り合いに遭遇する。 目が合うと、向こうも私に気がついて「茉莉子(まりこ)さん」と声をかけてきた。城亜弓(じょうあゆみ)の指の間には、細長い煙草(たばこ)が挟まっていた。煙草の銘柄はあのころと同じだけど、栗色(くりいろ)に染めていた髪の毛は黒くなっている。 「久しぶり」 「さっきの舞台、観てたんですか?」 「付き合いでね」 チケットは知り合いの演出家にもらった。ぜひ観てほしい、というからわざわざ見に来たけど、あまり賞賛したくなる出来ではなかった。城はさらりと「なんか、ぎこちなかったですね」と言う。 「話は面白かったと思いますけど」 「たぶん、作家と演出家の意思疎通がうまくいかなかったんだろうね。こういう時の打ち上げって気まずいんだよね」 煙草の煙は、立ち上る先から雨に打たれて消えていく。城は目を細めた。 「どこか入りません?」 この後の予定はない。「いいよ」と答え、並んで夜の表通りを歩いた。 城亜弓が突然アパートに押しかけてきたのが、二年と少し前。それから年に数度のペースで顔を合わせている。約束して待ち合わせることもあれば、こうして偶然出会う時もある。 ――教えてください。どうすれば役者になれますか? そう尋ねた彼女に、私は自分が役者になった経緯をぽつりぽつりと語った。演技論を語れるような言葉は持ち合わせていないし、私のやり方が彼女に適合するとは限らない。語れるのは事実しかなかった。役に立っているのかどうかは知らない。 城はデリヘルの仕事を続けながら、役者として活動をはじめた。彼女は私と違って、着実にステップを上ることを選んだ。俳優養成所に入り、各所のワークショップへ通い、テストに合格して大手劇団の所属となった。たった二年でそこまでたどり着いたのだから、才能があったのだろう。 私たちはチェーンのコーヒーショップに入り、揃(そろ)ってホットのラテを注文した。まだ暑さは残っているけど、雨に降られていると温かい飲み物がほしくなる。四人がけのテーブルにはす向かいに座り、コップの中身を啜(すす)る。 「まだあの店で働いてるの?」 城はにやっと笑った。 「辞めたんですよ、ついに。稼げるし、居心地よかったんですけどね。劇団のホームページに思いっきり顔載ってるんで、さすがにバレそうで」 今はデリヘル時代の貯金を崩しながら食いつないでいるという。昼職をやる気はないようだった。 「茉莉子さんは凄いですよね。演技一本で生活できて」 無用な謙遜はしたくないから、答えは返さなかった。 役者の仕事だけで食っていけるのは一握りであり、私がその一握りに入っているという自覚はある。とはいえ、会社員や公務員に比べればたいした収入じゃない。この稼ぎがこれから先、続くとも限らない。 「変なこと訊くんだけど」 城は首を傾げた。これも演技だということを、私は知っている。 「死にたくなったことって、ある?」 「そんなのしょっちゅうですよ」 即答だった。 「私、風俗で働く前に何度か自殺未遂やってますし」 「そうなんだ」 驚きはしなかった。デリヘルに勤めていたころ、手首に傷痕がある子を見かけたのは一度や二度ではない。ただ、城が自殺未遂をしていた、という話は初耳だった。そういえばいつも私の過去について話してばかりで、城の経歴はほとんど知らない。 「昔付き合ってた男がものすごく自分勝手なやつで。付き合いはじめたのも、向こうに無理やりやられたのがきっかけで……まあ、そんなのと一年も付き合ってた私もどうかしてるんですけど。その時は毎日死にたいと思ってたし、実際、睡眠薬OD(オーバードーズ)して死のうとしました。量が足りなくて全然ダメだったんですけど。救急車で運びこまれたけど、胃洗浄の必要すらなかったんですよ。でもやらずに済んでよかった。胃洗浄ってめっちゃ苦しいらしいですから」 はは、と笑う城の声は乾いていた。 男とは修羅場の末、失踪に近い形でどうにか別れたらしい。 「そのせいで地元にはいられなくなって、こっちに出てきました。最初に働いたのはキャバクラだったんですけど、お酒弱いんで半年も続かなかったです。その時も一回、ODやったかな? それからお酒飲まなくていいっていうんで、セクキャバで働いて。付き合ってた男にされてたことと比べたら、全然余裕でした。しばらくして、デリのほうが稼げるっていうんでそっちに転職して」 それも転職っていうのか、と妙なところに感心する。 「あの店に来てから、死のうとはしてないんだ?」 「やってないですね。通帳の金額で自分を納得させてました。これだけお金を稼げるんだから、自分は価値がある人間なんだ、って思いこんで、どうにかこうにか。貯金の額を減らしたくなかったから、無駄遣いもしなかったし」 城はジャージの胸元を引っ張った。服には無頓着らしい。 「けど、死にたさはずっとありますよ」 「今でも?」 「今でも。演劇やり出してから、多少ましになりましたけど」 城の答えに興味を引かれた。私が死にたいと思うのは、きっと演劇のせいだ。それなのに、城は逆に〈ましになった〉と言う。 「なんでだろう?」 何気ない風を装って訊くと、城は「うーん」と言った。 「演技してる時って、自分でいる必要がないじゃないですか。その役になり切っていればいい。自分が自分として存在しなくていい。だから、その間だけは死にたさも虚しさも忘れられるんですよね」 「それはわかるけど、舞台の外では死にたくならない?」 「茉莉子さんはそうなんですか?」 問い返され、私は口をつぐんだ。肯定も同然だった。 「普通だと思いますけどね。茉莉子さんじゃなくても、死にたい、くらい誰だって思いますよ。その辺のサラリーマンでも。週一で指名くれてたおじさん、いっつも死にたいって言ってましたもん」 「みんな、なんで死にたいんだろうね」 「知るだけ無駄ですよ。その人の地獄は他人には絶対わからないですから。役者になって、それが余計わかりました」 一時間ほど話して、私たちはコーヒーショップの前で解散した。城はすでに煙草の箱を握っていた。 「私、吸っていくんで」 「じゃあここで」 「ありがとうございました」 律義に頭を下げる城に、手を振った。今日は私のほうが教えてもらってばかりだった。 井の頭(いのかしら)線下北沢駅のホームに立つ。東京に来たばかりのころは、ホームの自販機やベンチまで新鮮に見えたけど、とっくに風景の一部と化した。上京してから週に一回として、ざっと四百回は下北沢へ来ているのだから、慣れるのは当たり前だった。 男たちの幻影は、今も目の前を浮遊している。 行列の先頭に立っていると、ふとした瞬間に飛び降りてしまうんじゃないかと自分で心配になる。死にたい、という強い衝動が湧いていないだけだ。ただ、死んでもいいかな、という思いは地下水脈のように心の底を流れている。飛び降りないのは、なんとなく現状維持を選んでいるからに過ぎない。 車内は空(す)いていた。発車の直後、スマホに神山(かみやま)からのメッセージが届いた。 〈明日の夜、家行っていい?〉 私が断るとは微塵も思っていないんだろう。すぐに〈いいよ〉と返すと、今度は〈着替え置く場所あるかな?〉と来た。ない、って言ったらどうするつもりなんだろう。〈好きなところ使っていい〉と送る。家に来るのは次で三回目なのに、もう着替え持ってくるのか。ちょっと早くないか? 神山とは、あの夜から付き合いはじめた。付き合うにあたって私は一つだけ条件を出した。私たちの関係については他の誰にも口外しないこと。これは、今までの男たちにも言いふくめてきたことだった。 意図は単純で、バレると面倒だから。演劇界隈は世界が狭い。誰と誰が付き合って別れたなんて話は、あっという間に出回る。どちらかが名のある役者ならなおさらだ。自分で言うのもなんだけど、私は若手の舞台女優では注目株ということになっている。男との交際が知れ渡れば、好奇の目で見られ、不快な思いをすることになる。 神山のほうも心得ているようで、すんなり了承した。むしろ彼もそれを望んでいるようだ。口先だけで約束を守らなかった男もいるから、その反応には安心した。 吉祥寺(きちじょうじ)で降りると、雨はやんでいた。 アパートに戻り、玄関ドアの前に立つと同時にいやな予感がした。室内から人の気配がする。神山には合鍵を渡していない。空き巣のおそれもあったが、なんとなく気配の正体はわかっていた。 解錠し、ゆっくりとドアを開ける。正面に立っていたのは母だった。 「おかえり」 部屋に入った私は後ろ手にドアを閉め、サンダルを脱ぐ。無言で横をすり抜けようとしたら、再び母が耳元で言った。 「おかえり」 家族が帰ってきたら玄関で出迎える。母は幻影になっても、我が家のルールを頑(かたく)なに守ろうとしている。これは現実じゃない。私の脳が見せている偽物の母だ。そうわかっていても、迫力に抗うことができなかった。 「……ただいま」 満足したのか、母は鼻から息を吐いて去った。疲労感がどっと押し寄せる。このところ、頻繁に母が出現するようになった。姿を見せるのは決まって家のなかだ。なぜ今になってそんな幻影を見るようになったのか、理由はわからない。 リビングではテレビがつけっぱなしになっていた。 「最近の番組はほんとつまんないねえ」 そう言う割に、視線はテレビから動かない。私は台所に立ったまま、グラスで赤ワインを飲んだ。母が振り返る。 「あの男となんで付き合ってるの? 甲斐性(かいしょう)なさそうなのに」 「ほっといて」 言うまでもなく、私が男と付き合うのは芝居のためだ。神山だってそうだ。いや、そうでなければならない。私は自分に言い聞かせる。男と付き合うことに、芝居以外の意味を見出(みいだ)すな。ほだされるな。さもないと、舞台を降りる羽目になる。 「変な気起こさないといいけど」 「変な気って?」 「結婚する、とか言い出すんじゃないの。あんたのほうが」 まさか。笑い飛ばそうと思ったけど、うまく笑えなかった。私は少しだけ残っていたワインを飲み干す。母はこの話題にも飽きたらしく、「つまんない、つまんない」とあくびをする。 「東京なんか来るからつまんないんだよ。あっちに残ってればよかったのに」 冗談はやめてほしい。もしも地元に残っていたら、私はもっとめちゃくちゃになっていた。 最後に帰省したのは二年前、母の七回忌だった。父とはろくに会話もせず、日帰りで東京に戻ってきた。故郷に長居すると東京を忘れてしまいそうで怖かった。父は依然、群馬で一人暮らしをしている。定年前だからまだ仕事はしているはずだけど、どんな暮らしを送っているのかは知らない。 「だいたいが、あんたが役者なんかやってものになるわけがない。あんた鏡見たことあんの? 女優ってのは小さいころから美人でちやほやされてる人間がやるもんだよ。あんたくらいの見た目の女、東京にはいくらでもいるからね」 べらべらとしゃべっている母に、反論せずにいられなかった。 「私、見た目で役者やってるんじゃないから」 「だったらなんで?」 「演技がしたいから。他人を演じているほうが楽だから」 「おっかしい。誰を演じたって、結局役を脱いだらあんた自身に戻ってくるのに」 母の顔に、はっきりわかるくらいの嘲笑が浮かんだ。 とっさに空のグラスを投げつけていた。グラスは母の額に命中して、粉々に割れた。母は悲鳴を上げてひっくり返る。かわいそうだとは思わない。片付けが面倒だな、とは思ったけど。 後始末のためにゴム手袋をはめて、ビニール袋を手にする。振り返ると母の姿はなく、ガラスの破片だけが散らばっていた。 * 下北沢駅前には木枯らしが吹いていた。喫煙所から煙たい空気が流れてくる。新規開店を知らせる居酒屋のチラシが、風に舞っている。 十二月に入り、気温はぐっと下がった。つい最近まで半袖を着ていた気がするのに、いつの間に冬になったのだろう。季節の変化はいつも不明瞭だ。人間に気付かれないよう、あえて境目を濁しているのかもしれない。 喫茶店に入ると、奥のテーブル席に丸眼鏡の男が座っていた。やや顔色は悪いが、視線には力がこもっている。私は迷わずその向かいの席に腰を下ろす。 「ご無沙汰してます」 名倉敏史(なぐらとしふみ)は「うん」と応じた。ここは名倉が打ち合わせに好んで使う店だ。名倉の前には、すでに冷めきったブレンドが置かれている。私も同じものを頼んだ。 「どうですか、最近は」 「それなりに」 無駄話をする気はないようだった。 昨日、名倉から電話があった。次の舞台の顔合わせ中で着信は取れなかったけれど、自宅に帰ってからかけ直した。 ――明日、会おう。 名倉からの用件はそれだけだった。話したいことは会ってから話す、と言われた。でも私には概(おおむ)ね予想がついていた。名倉と私が話すのは舞台のことだけだ。会わないはずがなかった。 「茉莉子」 名倉は肘をつき、両手を組み、そこに額を押し付けた。まるで祈るようだった。 「次の公演、主演をお願いしたい」 「わかりました」 迷う余地はなかった。ずっと、バンケットの舞台を待っていたのだ。承諾以外の返事はあり得ない。あまりに即答だったので、名倉のほうがたじろいでいた。 「……いいの?」 「いい、っていうか、それを待ってたんで」 「しばらく先まで、他の舞台が入ってるんじゃないの?」 「キャンセルします。今なら代演も見つかります」 昨日顔合わせをしたばかりだが、あの舞台は断ることにしよう。誘ってくれた主宰者は激怒するだろうけれど仕方がない。名倉よりも魅力的な人物を造形できない、劇作家が悪い。名倉は「恨まれそうだな」と苦笑したが、どうせたいして気にしていない。悪魔だから。自分の野望と心中する人間がいれば、あとはどうでもいいのだ。安堵(あんど)に頬が緩んでいるのが、その証拠だった。 「書けたんですか」 「ずいぶんかかったけどね」 「かかりすぎですよ」 名倉は冷めたブレンドをちびちび飲んだ。そういえばこの人は猫舌だった。私は音を立てて、熱いブレンドを啜る。 「小屋は?」 「宮下(みやした)劇場」 思わず「えっ?」と問い返していた。 渋谷(しぶや)にある宮下劇場は、「可動舞台」で知られる。二つの主舞台を、コンピューター制御された機構によって入れ替えることができるのだ。観客として訪れたことはあったが、舞台に立ったことはなかった。 「なんで宮下劇場?」 「都合がいいんだよ、色々と」 今日は話さないと決めているのか、名倉の口から具体的な説明は出てこない。 「もう押さえたんですか?」 「うん。渡部(わたべ)くんがね」 劇団バンケットの舞台監督といえば、渡部だ。名倉の後輩にして忠実な右腕。渡部とも長らく会っていない。たぶん彼も喜んでいるだろう。台本は後日、自宅へ送ってもらうことになった。 もう少し考え事をしていく、という名倉と別れ、喫茶店を出た。 久しぶりに会う名倉は、これまでの子どもっぽさが洗い流された感じがした。視線やしぐさから愛嬌(あいきょう)が薄れ、荒涼としたものが漂っていた。劇作家として一枚皮が剥けた、ということなのだろうか。だとしたら、スランプに苦しんでいたのも無駄ではなかったのかもしれない。 次の舞台は新生バンケットの第一歩になる。そう思うと、心が奮い立つ。 このまま帰宅するのが惜しくて、平日の下北沢をぶらついた。毎週のように通っているはずなのに、改めて気付くことが多かった。上京直後にワンピースを買った古着屋は潰れ、ハンバーガー店になっていた。季節と同じで、街もグラデーションで変化していく。人間に悟られないように。 「あの、すみません」 背後から声が聞こえた。私にかけられた声だとは思わず無視をしていたら、もう一度「すみません」と今度は強い声で呼びかけられた。振り返ると、二十歳(はたち)くらいの女の子が立っていた。金色に染めた髪。濃いメイク。彼女は目を見開いてこちらを見ている。 「私?」 「違ったらすみません。遠野(とおの)茉莉子さんですか?」 あー、とつぶやきが漏れた。プライベートで声をかけられるのは初めてではない。普段であれば、違います、と答えて立ち去るところだった。できるだけ、生活は他人に見せたくない。舞台の外の私には興味を持ってほしくない。 否定しようとしたが、彼女が次の言葉を発するほうがわずかに早かった。 「ファンなんです。握手。握手だけ、してもらえませんか」 こちらが答える前から、彼女は私が遠野茉莉子だと確信していた。断って、足早に去ることもできた。ただ、この時の私は普段と違った。名倉の復活を聞き、バンケットの舞台に出演を依頼された。 いつになく興奮していた私は、「どうぞ」と右手を差し出していた。 「あっ、ありがとうございます」 金髪の彼女は、両手でおそるおそる私の右手を包む。手のひらの湿りけから緊張が伝わってきた。ラメをまぶした彼女のネイルが、冬の空気のなかできらめいていた。 「爪、綺麗(きれい)だね」 なにげなくつぶやくと、彼女はぱっと手を離した。 「すみません、変ですよね。演技の邪魔になるのに……」 「いや。綺麗だね、って言ったんだよ」 「あっ、ごめんなさい」 後ずさっていく彼女が気の毒に見えてくる。よほど緊張しているらしい。このまま別れてもよかったが、〈演技の邪魔になるのに〉、という言葉が気にかかった。 「もしかして役者さん?」 そう問うと、途端に表情が明るくなった。わかりやすい子だ。 「一応、舞台俳優志望です。まだ養成所なんですけど」 どこの養成所か尋ねると、城が通っていたのと同じ有名どころだった。 「名前は?」 「クリスです」 姓なのか名なのかもわからなかったけれど、それ以上詮索するつもりはなかった。ファンへの義理はもう十分果たしたはずだ。「頑張ってね」と告げると、クリスは「はい」と勢いよく返事をして、深々と頭を下げた。私は感じよく見える笑顔で立ち去る。 前を向き、駅へと歩く。さっきまでの興奮は醒(さ)めていた。 役者が髪を金色に染めようが、派手なネイルをしようが、構わない。それ自体が役作りの一環かもしれないし、クリスはまだ役者と呼べるかどうかすら怪しい。そんな子に心構えを求めるのは酷だろう。 ただ、彼女には表現したい「自分」があるように思えた。役者を目指し、養成所に通い、遠野茉莉子に憧れている己に満足しているように見えた。そこには共感できない。私にとって役者は演技するための手段に過ぎない。私は演技なしでは生きていけないが、クリスはたぶん、そうではない。 舌の上に苦味が広がる。やっぱり、声をかけられた時点で拒否しておけばよかった。(つづく) 次回は2023年10月15日更新です。
1987年生まれ。大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第九回野性時代フロンティア文学賞を受賞し、デビュー。他の作品に『夏の陰』『プリズン・ドクター』『水よ踊れ』『この夜が明ければ』『竜血の山』『生者のポエトリー』『最後の鑑定人』『付き添うひと』『完全なる白銀』がある。