東京の花や緑のスポットと、その周辺の街をめぐるお散歩レポート。花を追いかけての連載なので、どうしても掲載の時期と花の見頃がずれてしまうのですが……街自体も魅力的な場所を歩くので、ぜひお楽しみください! さて、第13回は、椿。訪れたのはーー
町田市鶴川にある白洲次郎・正子夫妻の旧邸宅「武相荘」(ぶあいそう)。戦中の昭和18年に、食糧難を見越した夫妻が茅葺き屋根の農家を買い、移り住んだ家。武蔵と相模の境にあることと〝無愛想〟をかけて命名されたそう。 2001年から記念館として、一般公開されています。 戦後の政界・経済界で活躍した次郎、華族出身で文芸、骨董など文化芸術界で名を馳せた正子。若いころ米国や英国に遊学した華やかな二人の終(つい)の棲家は、緑豊かな庭に建つ純・和風の家。母家はミュージアムとして愛用の品々が並び、二人の揺るぎない審美眼と美しい暮らしを垣間見ることができます。 約2000坪の敷地内には竹林や梅、桜、ツツジ、アジサイなどの花木が植えられ、訪れた3月初旬は、次々と椿が咲く季節。併設のレストランでゆかりのメニューを味わって、ショップでお買い物も楽しんで。自分なりに生活を慈しむ心を刺激され、とても豊かな気持ちになりました。こちらの連載は今回で終了になります。 2025年秋頃に、加筆のうえ書籍化されます。 お楽しみに!
日本大学芸術学部在学中に、イラストレーターの仕事を始める。独特のタッチと視点のイラスト&エッセイが、読者の熱い支持を集めている。イラストのかわいらしさはもちろん、文章のうまさにも定評がある。著書に『ひっこしました』『ニュー東京ホリデイ』『世界をたべよう!旅ごはん』『たのしみノートのつくりかた』など、多数。