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 東京の花や緑のスポットと、その周辺の街をめぐるお散歩レポート。花を追いかけての連載なので、どうしても掲載の時期と花の見頃がずれてしまうのですが……街自体も魅力的な場所を歩くので、ぜひお楽しみください!  さて、第3回は藤。今回訪れたのはーー

  • vol.3 天神様の藤 2024年6月1日更新
 学問の神様・菅原道真を祀る「亀戸天神社」。五代将軍綱吉、八代将軍吉宗が訪れた記録が残り、浮世絵の題材にも取り上げられた、江戸随一の藤の名所。湿地帯だった土地に初代宮司が藤を植えたのがはじまり。  鳥居をくぐってすぐの太鼓橋「男橋」をのぼると、一面藤の花の海。下から見るのも美しいけど、上から見る機会はなかなかないので、それは壮観。震災や戦災で藤棚が失われては復興を遂げ、現在は50株以上の藤が植えられています。甘い香りに包まれて、花の中に埋もれるよう。  2つの太鼓橋に回廊、心字池など、福岡の太宰府天満宮にならって造営されているそうで、コンパクトながら変化に富んだ境内は、見どころがたくさんで楽しい。早春の梅、初夏の藤、秋の菊まつりと、”花の天神”と呼ばれるにふさわしいお社です。
・亀戸天神社 http://kameidotenjin.or.jp
 今回家族で散歩して、一番亀戸の街が気に入ったのは夫。なんといっても、駅裏のホルモン屋さんが並ぶ通りがいーい雰囲気。隣の錦糸町もホルモン屋さんは多いけど、こじんまりとしているぶんアットホーム。昼間から飲む人で溢れていても、いたって平和で牧歌的。娘もホルモンが大好きなので、2軒はしごしてしまいました。2軒目の「ホルモン青木」は開店時に満席で入れず、一度あきらめたお店。週末は裏通りまでどこも行列ができ、すごい活気です。  以前来た時に寄った「亀戸ぎょうざ」も楽しかった。こちらもオープン前からすでに大行列で、なんとか1巡目で入店。着席するなりひとり1皿がどんっと出てきて、その後あらためて追加を頼む形式。みんな一斉にワーっと食べはじめる、お祭りのような様子に大興奮したのでした。
・ホルモン青木亀戸店 03-3682-3090 ・木じま https://kameidokijima.com ・亀戸ぎょうざ 本店 https://www.kameido-gyouza.co.jp
 ホルモン屋さんを2軒はしごしたあと、肉と煙の匂いを落としに、いざ隣駅・錦糸町の銭湯へ。   2020年に歴史ある銭湯を改装してリニューアルオープンした「黄金湯」。モダンな内装に広いサウナ、フロントにはDJブース、自家製クラフトビールが飲めるバーも併設。2階にレストランと宿泊施設もあり、サウナファンの若者で常にいっぱい。  女風呂のサウナは4名定員ほどで小さいけど、週に一度の男女湯入れ替えの日は、広いサウナで外気浴も楽しめるそう。小さいほうも香りのサウナが楽しめて、普段サウナはあまり入らないながら、はじめて水風呂にも入ってエンジョイ。井戸水を使っているそうで、気持ちよかった!  近くには露天風呂が自慢の姉妹店「大黒湯」も。グッと旅感が高まって、散歩帰りの銭湯、おすすめです。
・黄金湯 https://koganeyu.com ・ベイズヨツメブルワリー https://batheyotsumebrewery.jp

(つづく) 次回は2024年7月1日更新予定です。

著者プロフィール

  • 杉浦さやか

    日本大学芸術学部在学中に、イラストレーターの仕事を始める。独特のタッチと視点のイラスト&エッセイが、読者の熱い支持を集めている。イラストのかわいらしさはもちろん、文章のうまさにも定評がある。著書に『ひっこしました』『ニュー東京ホリデイ』『世界をたべよう!旅ごはん』『たのしみノートのつくりかた』など、多数。